夢を買い続ける妻
恋愛結婚してもう10年の月日が流れた共働きの夫婦である、
子供はいないが夫婦仲が特別悪いわけでない。
朝の食事の用意は夫の担当である、
朝彼が起きて台所に行くとゴキブリが俳諧している安アパートである
こんなボロ家早く出なくては思う夫だが 二人には家を買うお金もない
妻は必ず宝くじを買い続けるのが日課の一部になっている
いつか大金当ててマイホーム
おりしも安倍内閣誕生である 夫は直感した
今年は必ず株が上がるはず 彼は賭けに出た
街中のサラ金から投機資金を借り捲った
高金利で500万手に入れた 彼は得意の新興株で勝負に出た
めぼしい新興株を投機筋に悟られないように少しずつ買い続けた
日経平均が16000円超えた頃 新興株も爆上げである
みるみる500万が1億超えた 彼は有頂天になった
悲劇は翌朝突然彼を襲う 暴落である 資金はみるみる激減
1千万は辛うじて手元に残る いまなら
借入金すべての返済でも手元に幾分かのお金は残る
彼は悩んだ そして決断した ゲーム再会である
毎日相場が下がり続ける中彼は買い続けた
ネットの掲示板では連日恐怖をあおる書き込みの嵐
しかし彼には通用しなかった
彼には投機サイドの書き込みだと確信して ひるまず買い続けた
間もなく相場は底を打ち反発しだす 彼の資金は2億超えてきたのである
一番の難問がここにある 筋にきずかれぬように
慎重に売り抜けなければオジャンである
彼に勝利の女神がほほ笑んだ
手元に2億を超える大金が転がり込んだのだ
彼はこの事を誰にも言わなかった
妻にも内緒である
妻は今日も宝くじを買い続けている。